塾と学校の違い
ある子の親が、ある塾の先生に対してこんなことを言ったそうです。
「勉強は、塾でやってればいい。学校の勉強なんか、遅れてるんだし、学校なんか行かなくていい」
その発言に対して、塾の先生は、このような感じで反論したらしいです。
「そもそも、学校は人格を形成する場。塾は、ただテストでいい点数をとるために行っている場。目的が違いすぎる。人格形成に寄与している学校の先生には、敬意を払います」
私も同感なのですが、もう一つ思うことが、「学力」の捉え方の違いです。
塾は、受験に成功するために行く場であり、志望校合格のためにたくさんの問題を解けるようにさせてくれる場です。学力を上げてくれる場です。
でも、ここでいう学力とは、いろんなことを知っている、とか、読む能力がある、とか、算数の問題を解ける、とかそういうものです。
一方学校でつかわれる学力には大きく分けて4つあります。それが、 関心・意欲・態度
知識・理解
技能
思考・判断・表現 です。 (新学習指導要領では、3つに絞られ、学びに向かう力、知識技能、思考判断表現となっております)
たとえば、学校で学んだことから興味をもったことを本で調べる態度や、既習事項から考えて課題を解決しようとする試み、さらに自分の考えをわかりやすく伝えること、なんかも学力に含まれます。
塾での学力は、上でいう知識・理解と技能に偏っていると思われます。(ほかがまったくないとは言いませんが)
このような違いが出るのには理由があると思います。
学校で使われる学力の定義は、中教審や部会で学者など有識者を交え綿密に議論されて決定しています。世の中の要請をうけ、人間に必要な能力とはなんなのかを徹底的に吟味した上で決められています。
ですが、塾は、極端な話、子供が志望校に合格すればなんでもいいのです。そして多くの受験校ではペーパーテストを採用しており、その内容は私立なんかは、学校が独断と偏見で決めています。
なので、学校での取り組みと、塾での取り組みが異なるのです。
確かに、塾で学ぶ内容の方が、難しい発展的な知識や技能を要するので、一見高度に見えますが、 私は、学校の方が、「学力」の定義をより厳密に精査しているという点で、子供の本当の意味での学力を身につけられる場所だと思っております。
おしまい